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2017-05-07

モノラル再生のお手軽兵器。/ JICO N44-G MONO




モノラル再生も凝りだすときりがない。

GEのバレリラトのトリプルプレイも試した。
そのガッツある音は好みだけど、
あのごろっとしたカートリッジの形とSMEトーンアームとの
組合わせがどうにもセクスィーでない。
定番デノンDL-102カートリッジも試した。
でも追い込み不十分でいまひとつ思ったようには鳴ってくれない。
相性のいいセットアップトランスフォーマーを探してはいるけど、
ひとまず棚上げ状態に。


で、何かないかと探してたら
シュアーM44G用のモノ針が復活してるではないですか。
以前は米国シュアー製で1ミルチップのモノラル針があったけど既に廃盤。
どうやらディスクユニオンが、
安全安心のMADE IN JAPANのJICO社に別注しているようで
実にお手軽な値段。
M44G用交換針N44-G MONOとある。
M44シリーズは針の互換性があるのでM44-7でも使用可能なはず。
針先のサイズが明記されていないので
オーディオユニオンさんに電話して質問したところ、
こちらは0.7ミルのチップらしく、
60年代以降のステレオカッタープレスのモノラル盤にも安心して使える。
手持ちのモノラル盤はほとんど60年代以降のものなので好都合。
しかもカートリッジの配線を変更することなく、
ただ針を差し替えるだけでモノラル再生できるとのこと。


早速取り寄せて聴いてみる。


おおっ。
ジャズ喫茶の音がでた〜。
押し出しの強いガッツのある音。
チリノイズも激減。
いいじゃないですか。


これでカモメ2羽飛ばせたまま、
お手軽にモノラル再生もできるようになった。



ロータスカリフォルニア たなかひろし


2017-04-06

こうもりの耳を持つ少年。



休みの日の朝、
レコードを棚から一掴み。
達郎のCIRCUS TOWNを聴きながらコーヒーをすすってまったり。
達郎もこのころは声が高いな。などと思いながら。
続いてSPACYを聴く、
声が細いね、やっぱ若いころだしな。などとも。


高校受験を無事終えた春休み中の少年もいるので
彼のお気に入りのサチモスをターンテーブルに載せる。
うん?、なんかヨンスの声も高い。
去年のアルバムだし声質が変わるわけがない。
すかさずうちの少年が、
なんかピッチが違うんじゃない。と指摘してくる。
ベースの音も違うし。とさらなる指摘を重ねてくる。

ごそごそと抽斗からストロボディスクを取り出し、
33rpmの60hzをチェックすると、
ストロボが盛大に流れていく...。
目いっぱいマイナス側につまみを回してもまだ流れる。
そこで僕はようやくひとつのことに気がつく。
先日コンセント周りの掃除したときに
うっかり115vプラグに挿し込んでいたことを。

100vプラグに挿しなおして、音だし。
”まだピッチ早いんじゃない~?”と、
となりの部屋の少年からの厳しいダメだし。
改めて調整して音だしする。
”あ~,これこれ。気持ちいいわ。この音。”と、
ようやくうちの少年ディレクターMR. PERFECT PITCHからのOKが出る。

どうやら、
うちの少年,こうもりの耳を持ってるようで。


BGM : BEAUTIFUL BOY / JOHN LENNON













2017-03-20

QUAD33 UPDATED...




長年連れそうQUADのアンプ。

その丹精なデザインでお気に入りの道具。

QUAD33/303/FM3のセットは寝室に。
ESLを鳴らしていたときのQUAD44/405は
リビングに家族のBGM用として。
そのおだやかな独特の音で
音楽を部屋の中に漂わせるには最高のオーディオかと。

QUAD33の背面にあるディスクの接触不良で音が出たり出なかったり。
以前からQUADメンテナンスのお世話になっていた方に
修理の依頼をしてはや一年。
その間、遠慮しながら季節ごとに進捗状況を伺うものの
イギリスからパーツが届かない。
来月には仕上げます。 などなど。

年末に4度目のお伺い、
来月には...。むにゃむにゃとおっしゃる 。
いくら気の長い僕でももう待てない。
ひとまず返却してもらうことに。
(以前は一ケ月と掛からずに直してくれたんだけど...。 )

EBAYを見ていると、
QUAD33のレストア済みがおおよそ修理代くらいで手に入るけど、
僕としては手持ちの長年連れ添った33サンを直してあげたい。
なにげにヤフオクを流していると、
QUAD33のコンデンサー等のアップデート済みというものが出ている。
すべて英国製のコンデンサーを使っての修理を済ませている。
QUAD愛好者には有名なDADA AUDIOのパーツを取りよせしての
修理を画策していた僕としてはくすぐられる内容。
出品者に連絡を取ってアップデートだけの依頼をしてみたら
やりますよとの返事。

2週間後、
無事にレストア完了して寝室のもとの場所に。



ベッドルームでは小音量派の僕には
音質の違いはわからないけど。
40年以上経過した電子部品をあたらしくしたという精神上の安心感がおおきい。
常に電源入れっぱなしだし。
これですやすやと寝れるというもの......。










2016-10-21

地震雷火事アンプ






ばりばりばり。
ぴかっ!!

うわっ。と椅子から飛び上がる。

雷のはなしではない。

ようやく涼しくなってきたんで、
真空管アンプの電源いれて暖機運転よろしくワイン飲んでいたら、
スピーカーから大きなばりばりばりという音がして、
アンプの出力管から見たことのない明るい閃光が出た。
おお急ぎでアンプの電源を落とす。

しばらくして恐る恐る電源いれてみるものの音は出ない。
予備球に差し替えてみるものの音は出ない...。
真空管が寿命だったんだろうけど、
アンプも道連れにしたのね。

やっと球のアンプの季節だと思っていたら修理行きに。
忘れたころに故障はやってくる。

球のアンプのない秋の夜長は寂しい。
GEの6L6GCマッチドペアを探して、
ebayの画面を睨んで秋の夜は更けていく。

lotus california たなかひろし


BGV : INFERNAL AFFAIRS

映画の中で使われいるのは
香港メーカーAUDIO SPACEのモノブロックとPRE-1。
デザインが無駄がなくていい。


 「抜ける低音、
 中低音も力強い。
 音がクリアにでる。」

ヤンさん、そんなこと言われたら欲しくなりますやん。






2016-04-07

MADE IN USA 図鑑 / M.A. COTTER MK2




時間があるとあれこれしたくなるのは
生まれつきの性格でして。

自分のことをマニアではないと思いつつ、
あれこれやってるうちに
マニアックな袋小路に迷い込み、
出口を探しながら、それでも嬉々としてる自分がいる。


いつか使おうと思って手に入れたまま,
引き出しの中で眠りについていた
M.A. COTTER の昇圧トランス。
黒だのシルバーだの色気のないオーディオ製品の中で,
きらりと光るブルーの躯体に銀色のケーブル。
存在自体が実に色っぽい。

仕事場のターンテーブルに繋げてみると
ブーンと盛大にハム音が鳴る。
アースの取る位置をあれこれと試すもうまくいかない。
置き場所かなと思い、
トランスを持ち上げるとぴたりとおさまる。
そのまま寝た子を起こさないように
慎重にそーっと降ろす。
もう触らないことにする。



音質はというと、
透明感があるけど
味わいもしっかした硬度高めのミネラルウォーターというような感じ。
低音は締まってて高域がすっと伸びて...。
ボリュームを上げていくと
低音に厚みがでて音の輪郭もしっかりしていて、
ベースとドラムに躍動感がでる。
中高音域に音のにじみや歪みがでないのも僕の好み。
などとオーディオマニア的なコメントはどうでもいいか。
個人的には、
単にJBL SA600とLP12との並びのうつくしさにこだわってみただけなので。

でも、
PEERLESS SLCのズシンと腹にくる低音も捨てがたい。
トランスひとつでこれだけ味わい変わるというのもどうなんだろう。
つまりはトランスは魔法のスパイス。

まあ、ちょちょいと気分で変えればいいか。と

いろんなスパイスを揃えたくなっちゃうのがこれまた難儀でもある。



LOTUS CALIFORNIA  たなかひろし

BGM: woody and dutch on the slow train to peking
RICKIE LEE JONES



このチャック・レイニーのブリブリのベースがうまく鳴っていれば
ベース&ドラム音マニアの僕としては、
なにも文句はない。


2016-02-08

かもめにはじまりかもめに終わる。vol.3 / VINTAGE SHURE





調整を終えたメインのプレーヤーには、
ついにかもめのツインズが飛び交う。
SME3009にはM55Eを
SME3012にはM447。
どちらも音質が似てるから
ダブルアームでこのセッティングをする意味はあまりないんだけど、
いちどこれをやってみたかったもので。
かもめフェチの僕としては。 





シュアーのカモメ柄カートリッジと
トルクのあるガラード301に
マッキントッシュの球アンプとのあわせで出てくる音楽は、
元気いっぱい笑顔いっぱいのアメリカンチアリーダーという感じ。
おしりが大きくて肉つきがよくて、
弾けるような躍動感に溢れている。
少しばかり音楽的なデリカシーには欠けるかもしれないけど、
輪郭のしっかりした中低音の押し出し感が僕の好み。
チック・コリアの浮遊感のあるフェンダーローズの音がかもめのように舞い、
スタンリー・クラークのベースラインのうねりにあわせて
自然に体のあちこちがリズムをとりだす。

このカートリッジは音の余韻もしっかり描き出してくれるから
案外こういうアルバムも楽しめる。



とはいえ、カートリッジ遊びはまだまだ続きそうではあるけど。
ortofonのAシェルなんかも楽しそうだし...。


lotus california  たなかひろし


BGM : WHAT GAME SHALL WE PLAY TODAY


かもめジャケットのアルバムに駄作はない。
と僕は思うんだけど。




2016-01-31

注文のおおい模型店Ⅱ TIGHTEN UP!!

本格的な冬の寒さがやってきた。
文化月間中の休日 2日間をレコードプレーヤーのセッティングに捧げる。





(STUDIO KUROさんのアライメントプロトラクターを利用させていただきました)


まずは劣化したブッシュゴムを交換、
プレイヤー本体の水平を正確に出し、
アームの高さを調整、
オーバーハング調整、
さらにはアライメント調整をして、
アームの水平バランス調整からの
ラテラルバランス調整、
さらにインサイドフォースキャンセラーを設定、
おまけにカートリッジの傾きを調整、
とどめの針圧調整.....


いちいち六角レンチやら専用ゲージで調整 をする。
息を殺して慎重に取り組む。
ひとつ調整しては深呼吸。
やたらとコーヒーブレイクが多くなる。
ひとつ狂っていると次も狂っての調整になるので、
瀬川氏のSME徹底研究書をたよりの綱に
慎重にミリ単位で調整してゆく。


しかしまあ、
この模型店は
あれをしろ、
これをしろ。
といささか指図が多過ぎる。
帽子をとって服を脱ぎなさい。
体をきれいに拭きなさい。
油を塗って
スパイスも振ってと
注文のおおい料理店のように
客のつもりが料理になっている。

僕も遊んでるつもりがすっかりSMEにもて遊ばれている。

いいんだよ、
今は遊ばれてるけど、
そのうち手なずけてやるからさ。と
こころに誓い六角レンチ片手にコーヒーをすする。

手綱ならぬねじを締めたり緩めたり。

LOTUS CALIFORNIA たなかひろし

BGM : TIGHTEN UP / ARCHIE BELL & THE DRELLS


うーん、たまりません。
うねるベースラインにカッティングギター。
うきうきソウルのNO.1。
揃いの空色スーツにステップもイカします。

TIGHTEN UP / YMO


改めて見ると、YMOってすごい人力テクノ。
細野さんのうねるベースと高橋さんのタイトなドラムありきですね。

2016-01-24

注文のおおい模型店。 I CAN'T GET STARTED...

個人的にもっともうつくしいと思うトーンアーム。


英国SME社は(SCALE MODEL EQUIPMENT COMPANY)
もともと精密模型をつくる会社のオーナーの趣味が高じて
始めたというトーンアームメーカー。
アイクマン氏は巷にあるトーンアームの音とできばえに満足できず
自分自身の為につくったらすごく評判が良くて
それが本業になっちゃったというお方。
趣味人であり優れたビジネスマンでもあった。

その道具としての性能の高さと
工作精度の良さもさることながら、
どの角度からみてもほれぼれするくらいにうつくしい。
デザイン・カウンシルの前進である英国工業デザイン協議会
1962年デザインセンター賞受賞、
優れたオーディオプロダクトであり
うつくしいモダンデザインのひとつ。
レコードをトレースする優美な姿は
街を歩くピンヒールを履いたきれいな脚の女性のようで、
にやにや眺めながらお酒が飲める。

文化月間の娯楽としてセッティングに取り掛かる。
アーム本体が前後に可動式になっているので、
専用スケールに従い正確に穴をあける必要があり、
一般のトーンアームのように
ただ丸い穴を開けただけでは取り付けができない。

ホームセンターで30MMのドリルを購入、
工房のボール盤を借りて作業にとりかかるものの
トルクが低いのと、
アームベースのオーク無垢素材が非常に硬くて歯がたたない......。
手持ちのインパクトドライバーで垂直に穴あけできる自信もなく。
あえなく挫折。
ここはプロの手を借りることに。
木工作家NICOの内海さんにお願いする。
内海さん曰く、
これはリーマーがないと無理ですよ~と。


まあ、 アームひとつ使う為に
あれこれと注文の多いこと......。

いつまでたっても始まらない。

LOTUS CALIFORNIA たなかひろし

BGM : I CAN'T GET STARTED. /  STAN GETZ



BGM : I CAN'T GET STARTED. / CYBILL SHEPHERD

このアルバムでのスタン・ゲッツも実にいい味だしてますね。






2015-12-10

HELP! I NEED SOMEBODY. / AW-1D



何かがひとつ壊れると、
つぎからつぎへとモノが壊れていくのは
我が家特有のウイルスなのか。

80年代にボーズ感性工学社の訪問販売で売られていた
名作ラジカセAW-1D。
当時初任給の2倍くらいのお値段だった。
いささか低音がブーミーすぎるけど、
小さな音でBGMをならすには低音が痩せなくていい。

CDの音飛びが時々出始めて数週間して、
いままでに見たことの無いHELPという液晶表示とともに
完全にCDが機能しなくなった。

HELPって...。

妙に人間味のある壊れ方するなと変に感心する。
30年以上も使っていればくたびれもするさと、
ボーズサービスセンターに修理依頼の電話をいれると
修理サービスは終了しました。とのつれない返事。

ボーズ感性工学さんの製品って永久保証を謳ってましたよね。
と食い下がるも、
担当オペレーターは外部入力使ってスピーカーとして使えますよ、と
とんちんかんなアドバイス。

僕は直したいの。
これはこれで重宝してるんだから。

HELP!
誰か直してくれるひと探さなきゃ。

LOTUS CALIFORNIA  たなかひろし


BGM:  HELP / DEEP PURPLE

今の気分はこのディープ・パープルのカバーバージョンに近い。




その後、ネット検索していると
修理してくれる人をヤフオクで発見。
入札→依頼→修理完了。
手元に戻ってくるまでわずか一週間。
あっというまだった。
コンデンサー等もアップグレードしてくれてるらしい。
(僕には音の違いはわからないけど。)
保証も一年ついてくる。
なんとも便利な時代ですね。


追記(2016 1 10)
機嫌良く動作していたのもつかの間、
レストアから約一月したあたりから
CDをスタートさせると空回りをしだすようになり
また例のHELPの文字とともに完全に動かなくなる...。
再メンテナンスを依頼したら、
わずか3日程でCDメカが交換されて戻って来た。
さらにまた一年の動作保証しますとのこと。
なんというすばらしい対応なんだろうか。

こういう仕事をプロフェッショナルというんだと思う。



2015-06-10

BED ROOM AUDIOが官能的かどうか。

ベッドルームオーディオというカテゴリーはないんだろうけど。


僕にとっては、
リビングのオーディオと寝室のそれとは
まったく違うコンセプトが存在する。

リビングオーディオは目の前にステージがあるかのように
音が前へ前へ迫り出してきてほしい。
たくさんの空気を震わせて音楽の実在感を全身に感じさせてほしい
ミュージシャンのスピリットを浴びるかのように。
(ときどきスピリットが度を越してご近所さんから気合いの入ったクレームが来るけど...)

それに対して、
ベッドルームオーディオは,
壁に掛かる一枚の静物画のように
たたずまいが大切。
音楽という一枚の絵を目を細めて眺めるかのように
刺激の少ない小さめのボリュームで楽しむ。

古い英国製オーディオはまさにそういう感じ。
このQUAD社のモデル33&303とROGERSのスピーカーのコンビは
ちいさめの寝室に音楽をふわりと空気のように漂わせる。
QUAD社の広告では、
“音楽に最も近く、オーディオに最も遠いコンポーネント”と謳っていた。
本を読みながら、
もしくは午後睡の最中に、
時々すっと音楽のフレーズが耳に飛び込んでくる。
スピリットが僕の頭のドアを開けてするりと入ってくるように。

そういう瞬間がすごくセクシィ。

BGM: セクシィ/下田逸朗&石川セリ


下田さんの歌世界はときどき僕の頭のドアを開けて
するりと入って来てはするりと出てゆく。
掴みきれないまま。足跡だけ残して。
セクシィ。

2015-05-14

かもめにはじまりかもめに終わる。今度こそは。/ VINTAGE SHURE

ようやく、かもめマークのM44-7を手に入れた。


先日は個人売買でB品を掴んでしまい苦い思いをした。
どうやら、僕はイギリスのオーディオ屋とは相性が悪いようで。
PAYPALの売買保証制度のおかげで商品代金は戻ってきたものの
イギリスまでの送料はこちらの負担。
まあ、仕方ないこと。

個人売買の失敗が続いて、
いい加減懲りたのでしばらくおとなしくしていたものの、
時間が薬となったのか、
また悪い虫がムズムズ...。


今回は安心安全の(?)国内の業者から手に入れた
最初期型ホワイトボディにカモメマークも眩しいM44-7カートリッジとオリジナルの針。

ちゃんと音鳴ってくれよ...。と祈りつつ,
SMEのシェルに配線する。
はやる気持ちを抑えながら,
CTIレーベルの"モントールのエヴァンス/1970"に針を落とす。



フランス語のアナウンスから始まるこのライブ盤はお気に入り。
アナウンスの冒頭、
マイクハウリングの酷い音が出て
観客がうへぇーと悲鳴あげるところもまたおかし。

エヴァンスの指先が弾き心地を確かめるかのようにゆっくりと動き出す。
しだいにテンポをあげてゆき、
鍵盤の上を舞うかのような華麗な高速ステップ、
エディ・ゴメスのベースとマーティー・モレルのドラムス がからんで、
さらに官能的な響きになる。



うーん、
いいじゃない、このカートリッジ。

現代のハイファイな音とは違う骨太な音。
悪く言えば、ナロウレンジなんだろうけど、
音が前に迫り出してくる感じで実に気持ちよく鳴る。
シャキッとしたシンバルの音、
ブリッと肉感のあるベース音。
響きのいいピアノ。

中音域から低音域が特に充実していて
音楽のかたまりが蛇口全開であふれるように出て来て
気持ちのいいこと。
シュアーのお家芸。
60年代のジャズやロックを聴くにはちょうどいい。

同時代のJBLのスピーカーとは純正の組み合わせのように
音楽が躍動する。

音の輪郭だの透明感やら分離感なんだのに拘らない
音楽のダイナミズム偏重の僕には何の不満もない。
味わいってものは、澄み切ってればいいってもんでもない。
底に溜まった澱そのものも
味の深みを高めている年代物のバローロのように。



こんないいカートリッジはなかなかないと思うんだけどな。
1963年にすでに作られていたということには感心しきり。

もっとも、大編成のクラシックを
ひとり腕組んで聴くようなひとにはおすすめしないけど。






あとひとつ発見だったのは、
いまひとつうまく鳴らない、というか乗れなかったポップスも
良く鳴らすカートリッジだということ。
このアルバムからも
ニューオリンズあたりのソウルフードの匂いがしてくるんだな、
実にいい塩梅で。



LOTUS CALIFORNIA たなかひろし



2015-03-06

IT'S MAN'S WORLD. / 真空管アンプMC240、また不調。


まだまだ寒い今日この頃、
休みの日は暖房の効いた部屋で
シェトランドセーター着込み
ウールの靴下を履いて
ぬくぬくとレコード三昧。

真空管のアンプに灯を灯し、
暖まるのを待つ間に
コーヒーを啜る。

至極の無音時間。


ボツッ。ボッッ。ボッッ。

なにやらスピーカーから不穏な音が...。

しばらくするとまた、

ボツッ。ボッッ。ボッッ。

悪魔のためいき。



数年前に一年以上待たされたレストアで
これで10年は大丈夫ですと太鼓判を押されたはずのアンプが...。
10年は大風呂敷だとはわかっていたけど。
早すぎますやん。とひとりつぶやく。


気を取り直して不具合箇所の絞り込みをすることに。

まずはプリアンプMX110を外して,
CDプレーヤーをパワーアンプに直結してみる。
それでもこのノイズは出てくるので、犯人はMC240君。
ボリュームを絞ってもその音量も変わらないので
どうやら電解コンデンサーの劣化だろうなと推測する。


アンプの電解コンデンサーや真空管なんかは消耗品、
車のオイルやタイヤと同様に定期的な交換が必要なわけで。
でも、5年くらいは心配ないだろうとおもっていたのに。
しばらくリビングオーディオの主役が使えないとなると気分が冴えない。

まあ、車検の時期がやってきたんだと割り切ることに。



BGM:  IT'S MAN'S WORLD  JAMES BROWN




この声、このきれ、このタメ。
すばらしきかな、JB。
大衆芸能の極み、歌舞伎に通ずるものがあると感じるのは僕だけではないはず。

その昔、オーストラリアのブリズベンでのJBライブを観た。
オープニングで、
星条旗のビキニ着てポンポン振り回すチアガールをバックに
LIVINIG IN AMERICAを唱ってたのも
ある種歌舞伎者だったなと思う。


LOTUS CALIFORNIA  たなか





2015-02-25

GET SQEEKY CLEAN. / 汚れは洗った方がすっきりするにきまってる。

ちりも積もればなんとやら...。

レコードコレクションもある程度の枚数を越すと
針を落とさないものが文字通り山ほどある。
すべて聴くには、
1日に5枚聴いても1年は掛かってしまうわけで。


 好きなレコードは頻繁に聴くし、
一度聴いたままほとんどお蔵入り状態のものもある。
でも音楽は記憶の一部なので手放す気にはなれない。

満遍なく聴くのにいい方法はないかと考えて思いついたのが、
まったく個人的なWEEKLY ARTISTを選んで
1週間聴き続けるということ。
こうすると案外聴いていないアルバムの再評価にもなるし、
買いそびれてるアルバムを捜すいい動機付けにもなる。



おもむろにレコード棚から
今週のミュージシャンのレコードをすべて抜き出す。
(大抵は、ミュージシャンの命日を偲んで選ぶのだけど)
 ひさしぶりに取り出したレコードにはけっこうなほこりが載っていたりする。
いままでは精製水をかけてコットンでちまちまと拭き取っていたけど、
手間の割にはいまひとつすっきりしない。

盤面がきれいになると評判のバキューム式レコードクリーナーは
アメリカ製のフーバー掃除機並みに音がすさまじい。
そのうえがたいもでかい。
無粋な上に価格も納得いかないので却下。

掃除機で代用するわけにもいかないので購入したのがこれ。


BELLDREAM社のレコードレーベルカバーという代物。

自作できそうでもあるけど
その手間も面倒だし、
仕上がり精度に自信がないので。

使って見たらなかなかにいい。

アクリルのカバー2枚でレコードレーベル面を挟んだら
キュッキュッキュッとねじで閉めるだけ。
いたって簡単。

洗面場でブラシ片手にじゃぶじゃぶ。
紙のレーベルは濡れる心配もないし、
使用後は引き出しに仕舞っておける。


レコードマニアのための逸品に認定。


こんなの年間にいくつ売れるのかわかんないけど...。





ぴかぴか。

洗ったほうが気分もさっぱり。




lotus california  たなかひろし

2015-02-19

JUNK... I CAN'T GET NO SATISFACTION.



個人売買でイギリスから届いたSHUREのカートリッジM44-7。
初期型カモメマークのデットストックで
オリジナルのスタイラス付きなのだ。




梱包をほどくのももどかしく、
早速カートリッジをシェルに装着しての音出し。

うーん、なんだこりゃ?

右チャンネルからしか音が出てこない......。

手持ちの別のスタイラスに交換しても同じ結果。

念の為にと、
違うシェルに装着しても右チャンネルからしか音は出てこない。

やれやれ。


またジャンクがイギリスから届いたようで。

なんだかんだで懲りてない僕。

そういえば、良く言われてたフレーズがある。

YOU NEVER LEARN... (懲りないね、君は。)

座右の銘としよう。
あるいは、ブログのタイトルとすべきか...。

LOTUS CALIFORNIA  たなかひろし

BGM : I CAN'T GET NO SATISFACTION.




ミックの赤いボタンダウンシャツ、
襟ロールが大きいし
袖カフが長くてボタンがウエスタンシャツみたく縦に3つならんでる。
かっこいいやん。
うーん、早速サンプルを作ってみよう。








2015-02-15

YOU CAN'T ALWAYS GET WHAT YOU WANT..



ただ古いものが好きという骨董趣味ではないんだけど。


デザインの完成度やクオリティの高さ、
モノつくりの良さやその国らしさ、
洗練さとおおらかさ。
直して使えるという道具の本質を求めていくと
1940年代から60年台のプロダクトに行き着くことが多い、僕の場合。




そういったものを海外から個人売買で入手することもある。

実物を見ずに買うにはそれなりのリスクもあって、
オークションの出品物は玉石混交、
出品者もなかには具合の悪い輩もいる。
壊れたものを良品と偽るものもなかにはいる。
つまりは、海千山千の強者ばかり。



僕はかならずメールでやりとりをして相手のそのひととなりを探るようにしてる。
経験上、雑な返事や主語を省いた文章で返事をよこす輩は怪しい。
今回のやりとりした相手がまさにそういうタイプで警戒はしていたんだけど...。
ものが良かった上に、
プリンスがオーク無垢材でセミフローティング使用。
これを国内で作るだけでも相当手間と費用がかかる。
しかもレストア費用くらいの値段交渉にも応じてくれたので。
(ヴィンテージはおおよそ価格の2割くらいはメンテナンスに使う覚悟で買うことにしている。)

で、イギリスから届いたのはこの業界20年以上と唱うプロの仕事とは思えない梱包。
ターンテーブルは木製のプリンスに
肉離れのテーピングさながらメンディングテープでぐるぐる巻きにされていた。
しかもそのままの状態で隙間に発砲スチロールをつめこんだだけというお粗末さ。
発砲ステロールの粉にまみれたターンテーブルの
スイッチレバーはまっぷたつに折れ、
12インチトーンアームのインサイドフォースキャンセラーは根元から折れていた。





おまけにSMEのアームにはインサイドフォースキャンセラーのウエイトが付いてこないという始末。

モノへの愛情のかけらもない梱包。


早速、クレームのメールを入れると、
申し訳ない。すぐにパーツを送るから。
SORRY, SEND THEM TODAY
と主語のない返事があったあとは、ノーリプライ......。

まっ、いっか。
どうせレストアしてから使うつもりだったし。と自分に言い聞かせ
怒りと悲しみが綯い交ぜで眠りも浅い。。

しかたがない。


YOU CAN'T ALWAYS GET WHAT YOU WANT.
子守唄だな...。


lotus california  たなかひろし


BGM: YOU CAN'T ALWAYS GET WHAT YOU WANT. / THE ROLLING STONES







2014-11-13

かもめに始まり、かもめに終わる。/ VINTAGE SHURE



鮒に始まり鮒に終わる。と先人は言った。

いろいろやっても趣味の行き着くところは、
日々付き合えるシンプルで飽きのこない遊びだということか。

f:id:lotuscalifornia:20140911162647j:image


音楽が好きで、
さらにはモノ好きの性格が災いして
アナログ機器をあれこれといじってる。

カートリッジもあれこれ試しているものの、
一番出番の多いのは
扱いやすいシュアーのM44G。

僕にとっては、ただただ音楽を楽しく聴かせてくれるこのカートリッジ。
DJ用という世間一般の扱いに
オーディオファイルからは軽く見られてるけど、
蛇口全開で溢れるように出てくる音楽は聴いていてただたのしいんだな。
オーディオファイルに評判のいいSHURE V15 MARK3は
僕にはいまひとつしっくりこない。
アーム自体の動きのいいハイコンプライアンスな
SMEのインプルーブドとの組み合わせでは、
しっかり音量を上げるとその真価を発揮するものの
普段の音量ではその音世界がいまひとつ線が細い。

MARK4もすこしハイファイな感じだけど同じ傾向。



f:id:lotuscalifornia:20140911161400j:image:w360



最近手に入れたアームにたまたま付いて来たこのM55Eは
かもめマークのビンテージ。
オリジナル針が無かったのでJICOのN55Eを取り寄せてみた。

f:id:lotuscalifornia:20140911153741j:image:w360

どうやらこのカートリッジはM44Gの楕円針仕様というところらしく、
M44Gではすこし気になっていたレコード内周でのひずみも出ない。
出力も針圧も同じでM44Gのガッツある音に高域を伸ばした感じでとてもいい。
M44-7ほど野放図でもない。

SHUREのカートリッジとJBLのスピーカーの組み合わせには
ある種独特の音世界が存在している。
気持ちのいいところを絶妙の強さで揉んだり押したりしてくれる
つぼを心得た極上のマッサージのように。

目を瞑って、ただただ夢見心地。

ああ、もうこれでいいやん。


僕の場合、カートリッジはかもめに始まりかもめに終わるのかも。


LOTUS CALIFORNIA たなかひろし




2013-09-10

さらに申し合わせたようにものがこわれてゆく。



B&O BEOGRAM 4002のうつくしさに取り憑かれて10年。

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手元で稼働したのは、わずか30分...。

元箱入り、オリジナルカタログ付き、美品。
ノークレームノーリターン。
雨の日のオークションで手に入れたこのプレーヤー、
やって来たその日のレコード1枚目にして
焦げくさい臭いとともに停止。

ノークレーム、ノーリターン。


B&O代理店は補修パーツがありませんので、修理は受けれません。
と想定内のつれないお返事。
大阪のヴィンテージオーディオ店に持ち込むものの修理できず、
多少の点検料を払う。
修理の為に、西へ東へと奔走するもどこも直せないという返事。
ネット上で見つけた頑固親父のこだわりの修理やというところに
送ったものの、これまた修理不可。
その上高額の点検料を払い...。
精魂尽き果て、そのままお蔵入り。

そして数年が過ぎ、
ネットサーフしていると、
米国SOUND SMITH社がB&Oのカートリッジを制作しており
かのB&Oでも正規で取り扱っている。
連絡をとるとB&Oプレーヤーのレストアにも自信ありと知るが、
フルレストアしか受け付けないとのこと。
コストは度外視でアメリカへ送り、待つ事1年。
ついに直って来た。

うつくしいプレーヤーながらもそのサウンドは割と骨太で腰がすわっている。


仕事場で毎日気分良く稼働していたものの、
この数日、回転スピードが急に遅くなる症状が出て来た。
熱中症か?
妙なワウが音にのって聴けたもんじゃない。
そうこうしてるうちに、
完全に止まってしまった。
修理後、実働4か月。

またアメリカに送りつけても往復の送料を考えると......。
もう完全に諦めかけていたところで、
国内でみつけたのがS.LABOさん。
http://slabo-e.jp/
メーカーがメンテナンスを受けてくれないものを修理してくれるとのこと。
B&O 4002の修理経験もあるようだし。
すがる思いで修理をお願いして、
わずか2週間。
直ってきた。

モーターの分解掃除に、
各部の半田修正。
45回転の速度調整も。
演奏終わったプラッターがゆっくりと止まるようになった。
丁寧に仕事してくれたのが梱包からもみてとれる。

いい仕事してくれました。

これでプラッターで掛け時計をつくらずにすんだ。

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ついでに使いにくいピンジャックもアース付きノイトリックのRCAジャックに改良してもらったり。


LOTUS CALIFORNIA たなかひろし




2013-07-20

MADE IN USA 図鑑 VOL.5 / THE VINYL FLAT ひねくれものの強制施設





最近、毎日仕事場でレコードを聴くことにしてる。
出かける前に、本日の4枚を選んでトートバックに滑り込ませて出かける。
さあ、聴こうと思ってターンテーブルにレコードをのせると、
時々、レコードが実にオーガニックに反っていて、
トレースしているカートリッジが上へ下へと
ジェットコースターのように大忙し。
当然音にも微妙なワウがはいって、
僕の眉は3MMくらい寄ることになる。
ビブラフォンの音なんかはまったく聴けない音になる。


昔なら重たい本を載せて数ヶ月の放置プレイ。
それでも直らないタフなひねくれ者は、
ガラス板に挟んで日向で日光浴。
これは日光浴の時間がけっこうシビアで、
更生できないほどに伸びきるやつもでてくる....。

日本製でもレコードのそりの矯正器があるんだけど、
お世辞にもいいデザインとはいえない。
量販店の片隅にあるズボンプレッサーの小型にしかみえない。
お金を払って手元に置いておきたい物ではない。

なんかいいものないかなーなんて探していたら、あるじゃない。
その名もTHE VINYL FLAT。
しかもアメリカ製。
アメリカ人のマニアってまじめにこんなモノつくるから好きだな。
超重量級の金属プレート2枚に挟み込んで、
あたためたオーブンに放り込んで、
待つ事約30分。
冷ます事30分。
貴重なレコードをオーブンにいれるなんておおらかでアメリカ的。


でも、僕の家にはそれほどおおきなオーブンもないし、
レコードの管理に対してそれほどおおらかでもないので、
オプションのヒートバッグも一緒に手に入れる事に。







これで、僕のレコード監獄の中の
ひねくれて根性の曲がったやつは、
矯正してシャキッとしてやる。


LOTUS CALIFORNIA たなかひろし




2012-06-24

THAT’S ONE SMALL STEP FOR A MAN, A GIANT LEAP FOR MANKIND...



ついに禁断のものに手を染めてしまった...。

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50年代~60年代のモノ録音のレコードをモノカートリッジで聴く。
というとてもあたりまえのことをいままでやってなかった。

ものぐさな僕はモノカートリッジDENONのDL102を買ったものの
いろいろなことの後回しにしたまま2年がたった。
たた単純に、
カートリッジ交換の簡単なユニバーサル型のアームのついたプレーヤーが
倉庫にしまっていたので引っ張りだすのが面倒だっただけなんだけど。

ずいぶん昔、
そうまだ僕の尻が青いころにDJみたいなことを
音楽好きの仲間3人とでミナミのバーで毎週一度だけ朝までやっていた。
仲間のやさしい絵描きはロックを、
男っぷりのいい美容師は4つ打ちを、
僕はソウルとジャズを自分たちの酒の肴にプレイしていた。
もちろんフロアーにはいつもだれもいなかった。
その頃に手に入れたテクニクスSL-1200を倉庫から引っ張りだして来た。
手持ちのプレーヤーでユニバーサル型はこれしかない。


あれこれ調整して出て来たDL-102の音が物足りない...。
ガッツがない、
ベースのブルンッもなければ、シンバルのパシャーンもない。
昇圧トランスを探そうかとリサーチしていたら、
ブログで知り合っためんくいさんから
アメリカGEのモノカートリッジがいいよという神の声。(OR悪魔のささやき?)

このGEのトリプルプレイはひとつのカートリッジに
2種類の針をつけれるというすぐれもの。
でもふたつだからダブルプレーじゃないの...。と引っかかりつつ。
ひとつにはモノオリジナル時代の1ミル針を、
もうひとつには、ステレオ時代になってからの再発モノ盤用の0.7ミルの針を
という使い方ができるのでとても便利。
(これひとつでSP盤、LP盤、EP盤と使えるからトリプルプレーというらしい。)

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なかなかうつくしいデザイン。こちらは60年代のバリレラVRⅡ。

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赤いノブを押さえてくるりと廻すと針も回る。
ドリフの舞台みたいなおもしろさ。

音が左右に広がるステレオとは違い、
モノの音はスピーカーの中央に音が集まり縦方向に音場が広がる。
音のかたまりがどーんと迫る感じは独特でくせになる。
まるでたっぷりとたたえたダムの水が上から放水される感じとでもいうのか。
降り注ぐ音のしぶきが気持ちいい。
ステレオ針のように上下の動きがないからか
トレースはいたってスムース。
いままで気になっていたモノ盤のノイズもにごりもめっきり減って、
曇った空が晴れ渡り、
あきれる位気持ちのいい音が出てくる。
音楽の気持ち良さを素直に満喫できる感じ。



お店でジャズを鳴らしていると、
オーディオマニアでも、音楽マニアでもない女性がほつりと
“あー、いい音ー。”って...。
温泉で、“あー、いいお湯ー。”ってつぶやく感じで。
こういうのが一番うれしい。

いろいろ言いたいのを我慢して僕はただレジカウンターの中でにやにやする。

ロータスカリフォルニア たなかひろし

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ORIGINAL MONO
こちらには1MILの針で。
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再発のモノ盤も気持ちよく鳴る。
もちろんこちらには0.7MILの針で。
ジェリー・マリガンのクルーカットにデザートブーツとパンツ丈が秀逸ね。
IVYは体型を選びます。




2012-06-16

ARE YOU EXPERIENCED? / QUAD ESL57



梅雨になると思い出すものがある。
好きで好きで手に入れたけど、どうしてもうまく使いこなせなかったあれ。

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強く張った二枚の薄いラップのような膜に
高電圧をかけて振動させて音を出す特殊な仕組みのこのスピーカーは、
湿度が高いと膜どうしが接触して壊れやすいらしく、
梅雨の間はエアコンの除湿を常にかけていた。


僕は好きになったものは骨の髄までしゃぶり尽くしてやろうと思っている。

そのたたずまいの良さ、
スピーカーとは思えないデザインの斬新さに惚れ込んで
音も聴かずに手に入れた英国QUAD ESL 57。(1957年のデザイン)

かのチャールズ・イームズもSTEPHENS社になかなかのスピーカーを残したけど
これほど美しいスピーカーは他には無いと思う。
その美しさに入れ込んでいた僕はフロントパネルを新品に張り替え、
サイドのフレームも家具屋でレストアし、
そのエレガントな脚も新品に取り替えた。
(もちろんオリジナルは保管しておいた。)

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眺めているだけでも満足だった。はじめのうちは。

イギリスのBBCがモニタースピーカーとして使っていた由緒ある名機。

でも僕の部屋ではさえない音でしか鳴らなかった。
いや、ただ鳴らせなかっただけかもしれない。

QUAD44と405の純正セットで出て来た音は、
隣の部屋から聞こえてくるラジオのような音。
メリハリのないBGMというべきか...。
音楽聴いていてもなんだかのれないし心が踊らない。


ESLには電源が重要だと聞いては,
200Vオーディオ専用電源をことのついでに引いてみた。
球のアンプじゃなきゃいい音で鳴らないないよと言われては、
真空管のアンプをつなげてみた。
奇才アンプデザイナー、マーク・レヴィンソンが
ESLを中域だけにつかっていたと知っては
ツィーターとサブウーファーの導入を検討してみたり...。

ESLは部屋の真ん中に置いて後方から出る低域を
自由にさせてやるのが本来の使い方と知り、
家族が留守のときに部屋の真ん中に置いてみた。
いい音になるポイントを探して少しずつ椅子を近づけていくうち
ESLは巨大なヘッドフォンのように僕に近接していた...。

ふと我に返った。
なにやってんだろう...。
まるで惚れた女の子に振り回されるさえない十代の少年の恋愛のようだった。


気づけば音楽を聴かずに、
いい音を出す工夫の日々。
しらずしらずのうちにそこそこに鳴ってくれる
BOSANOVAやFOLKばかりを聴くように。
つまりは低音の入ってない音楽ばかりで、
僕の音楽を聴く楽しみは半減していた。

ヤーメタ!
僕は音楽を聴きたいんだ。
時にはディストーションの効いたジミ・ヘンドリックスのギターを、
レッド・ゼッペリンのジョン・ボーナムのドラムスの重低音を
爆音で浴びるように聴きたいんだ。
降り注ぐ音楽で心を振るわせたいんだ。

一目惚れから覚醒した僕の部屋には、
音楽を聴くことを単純にたのしむために四角いJBLのスピーカーがある。


でもときどきESL57のことを思い出す。
きょうのような雨の日に。
甘酸っぱい初恋のように。


ロータスカリフォルニア たなかひろし