2018-04-28

沈黙に次いで最も美しい音楽とは。


ああ、僕もいい大人になったなぁ。と感じることがある。

20歳過ぎの頃、
古いヌーベルバーグ映画をきっかけに
ジャズという音楽に夢中になり、
それからの2年間はジャズしか聴かなかった。
朝起きてジャズ、
昼間も仕事場でジャズ、
寝るまでジャズ。
ジャズという名のつくものは、
それこそジャンゴ・ラインハルトから
アルバート・アイラーまで聴きあさった。
でもECMレーベルのジャズはいまひとつ肌に合わなかった。
特別難解なわけじゃ無い。
フリージャズの方がよほど手強かった。
ただECMレーベル独特の温度感のなさがにピンと来なかったのである。
つまり僕は痺れなかった。
僕は、まだ若すぎてその静けさの中にある演奏家のエナジーを
感じ取る理解力がなかったのだと思う。

ECMのレコードを買うことは無いだろうと思っていた僕は、
いまやいい年になり。
嬉々としてその静寂な音世界を楽しんでいる。

"the most beautiful sound next to silence"
沈黙に次いで最も美しいというECMのコンセプト。
きっと虫の音や波の音、
風の音を愛でるくらいの人間の熟成を要求する。
クラブで飲んだり踊りふけてる輩には、まだ早い。

ECM (the edition of contemporary music)のレコードを聴くときは
お隣さんからクレームの来ない程度の音量で、
少しトーンコントロールで低音を持ち上げてやる。
すると音の粒立ちが良くなってくる。

あくまで僕個人の好みですが。