今年の夏、僕は少年を連れてカリフォルニアに二人旅をしてきた。
ディズニーランドにも行かないし。
ユニバーサル・スタジオにも行かない旅。
僕が若いときに暮らした街やアパートをみせて、
そこでいつもしてることを一緒にするだけの旅。
サンディエゴからサンタバーバラまで移動しての波乗り。
あちこちでお店の買い付けをして、
気になるモーテルに泊まったり、
友達宅に世話になり過ごす10日間。
おやじの遊びと仕事と友達をみてもらおうかなと。
2年程前のこと、
彼は僕に、”アメリカってどんなとこ?”って聞いて来た。
僕は、カリフォルニアしか知らないからなんともいえないなー。って正直に答えた。
アメリカって広いからうまく説明できないし、
しかも南カリフォルニアしか知らないよ。
行ってみたい?と聞くと
目をまん丸くして、”うん。行きたい。”って。
じゃ、さあ、自分の面倒は自分で見れないと困るから
体力つける為に毎週必ずジョギングをしよう。という僕の提案を彼は受け入れた。
そうして2年間、ほぼ欠かす事なく週1回のジョギングとスイミングを彼は続けて来た。
はじめは走っては歩きのジョギングも
今年には僕のペースにしっかりとついて来れるようになった。
実は、僕は彼がおとなになる前に一緒に旅をしようと心に決めていた。
思春期に入る一歩手前のまだ少年の彼に、僕は伝えたい事があった。
人とのコミュケーションの大切さを。
おとなになっていく過程で、いろんなひとと出会うだろうし、
ひとそれぞれにそれぞれの価値観があるということを。
そして自分の価値観を持つことの大切さを。
わずか10日間でもいろんなことがあった。
サンオノフレで冷えて震えるからだでたき火をしたことも。
フリーマーケットで値段交渉したり、荷物持ちしたことも。
ヴェンチュラのC-STREETでたくさん波に乗れて大喜びしたことも。
サンタバーバラでの野外ライブ会場が紫色のけむりがただよっていたことも。
そして、お世話になった友達の名前をおぼえていなかった事で、
ヨットハーバーのピザハウスで僕にこっぴどく叱られて泣き続けた事も。
僕と少年のかけがえのない大切な思い出になった。
僕の子育てはこれで終わったような気がする。
でも、最近は下の娘が言い出した。
私もジョギングするから、来年カリフォルニアに行く。って。
やれやれ。
SOUNDTRACK/WHY I CAME TO CALIFORNIA
LOTUS CALIFORNIA たなかひろし