僕にとっては、
リビングのオーディオと寝室のそれとは
まったく違うコンセプトが存在する。
リビングオーディオは目の前にステージがあるかのように
音が前へ前へ迫り出してきてほしい。
たくさんの空気を震わせて音楽の実在感を全身に感じさせてほしい
ミュージシャンのスピリットを浴びるかのように。
(ときどきスピリットが度を越してご近所さんから気合いの入ったクレームが来るけど...)
それに対して、
ベッドルームオーディオは,
壁に掛かる一枚の静物画のように
たたずまいが大切。
音楽という一枚の絵を目を細めて眺めるかのように
刺激の少ない小さめのボリュームで楽しむ。
古い英国製オーディオはまさにそういう感じ。
このQUAD社のモデル33&303とROGERSのスピーカーのコンビは
ちいさめの寝室に音楽をふわりと空気のように漂わせる。
QUAD社の広告では、
“音楽に最も近く、オーディオに最も遠いコンポーネント”と謳っていた。
本を読みながら、
もしくは午後睡の最中に、
時々すっと音楽のフレーズが耳に飛び込んでくる。
スピリットが僕の頭のドアを開けてするりと入ってくるように。
そういう瞬間がすごくセクシィ。
BGM: セクシィ/下田逸朗&石川セリ
下田さんの歌世界はときどき僕の頭のドアを開けて
するりと入って来てはするりと出てゆく。
掴みきれないまま。足跡だけ残して。
セクシィ。
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