10歳くらいのころ、親父からもらったストーブ。
そのころキャンプと釣りにハマっていた少年の僕には宝物だった。
取り扱い説明書もなく、
ストーブ本体に書かれた英語も読めない僕は、
幾多ものトライアンドエラーの末、
我流でこのストーブを使っていた。
いまは使い方もちゃんとわかっているけど、
当時の僕はほぼ正しく使いこなしていた。
ただひとつ間違えていたのが、
ポンプに注すオイルの種類で、
僕は家にあった母親の動力ミシンの油を使っていた。
久しぶりに取り出したストーブにホワイトガソリンをいれ
ポンピングしてみると具合が悪い。
気化したガソリンがうまく出て来ない。
調べてみたところ、
どうやら純正のリュブリカントオイルを使わないと、
ポンプ最深部にある金属の弁が固着するらしい。
ようは昔あったソーダー水のガラス球のように
圧が掛かると動くように設計されている。
そこが油の粘度の違いで不具合がでるようで。
面倒なことにこの部分の分解だけはコールマンの専用工具が必要になる。
しかもカナダ製とアメリカ製では工具が違う。
早速、アメリカのコールマンマニア制作の専用工具を発注...。
じーっとこのストーブを見ていると
亡くなったやくざな親父のこと、
友達とふたりで泉南の浜でしたキャンプのこと、
テントの中でストーブ代わりに使った寒い夜のこと、
いろいろとおもいだして少し感傷的になった。
いろんなところにさびがでていて使われていない道具の
さびしさがにじみでている。
よし、きれいにしてやるか。とばらしてみる。
ここは人の手を借りずに直してやる。
僕なりの自分の思い出とのコミットメント。
想いを込めていま10歳になった息子にあげようか。
でも彼は電車に夢中...。
ロータスカリフォルニア たなかひろし