とある晴れた6月の日曜日。
久しぶりにスクーターに跨がり、
神戸の港のとあるアダルトストアに向かう。
そこは冷やかし半分で訪れる店ではない。
相当の覚悟を胸に、
そして汗水たらして稼いだキャッシュを懐に携えて
こころ高ぶらせていくところ。
まさにおとこの殿堂。
きょうはいつにも増してワクワク。
というのも僕の敬愛する買い物番長が自身の私物フリーマーケットをするというから。
挨拶もそこそこに、
そこらに無造作に置かれたバイクのパーツやら、
ビンテージのフロリダンシャツやラングリッツのライダースなんかに
気を取られながらもなにかないかと
目はきょろきょろ、
鼻はクンクン、
腹を空かした子犬のように落ち着きが無い。
ふと目をやると、
見覚えのある自転車がひっくり返しておいてある。
日本製のクロモリフレームに
パンチの効いたジョーズのデカールのBMX。
パッドも揃うオリジナル完品。
うわっ、これ手放すの?とにやにやする僕に。
最近乗らないし、乗る人のところにある方がいい。と
モノの本質に無駄の無い一言で迫るアダルトストアーのオーナー。
実は、ちょうど僕の少年がBMXを欲しいっていってたんだ。
少年にそれを見せると、
ケーブルがハンドルの外にあるやんー。とまさかのがっかり顔...。
どこで見てたのか、どうやら、彼はフラットランドのBMXが欲しかったようで。
かっこいいのは、オールドスクールだよ、
オーーールド ス ク ー ル。っとおおきな声アピールするものの彼のこころには響かず...。
ふん。いいさ、僕が乗るから。
コンビニくらいはスエットパーカー被って立ちこぎ全速力行ってやる。
エリオット少年のように...。
なんってたってオールドスクールなんだから。
これ観たら、
オールドスクール好きになるかな。
さあ、磨いてやろう。
そうしてモノ好きからモノ好きにモノは受け継がれてゆくわけで。
ロータスカリフォルニア たなかひろし